秘伝の
決めワザ

ワケあり、意味あり、工夫あり。
美味しいだけではないんです。

 五平餅の材料は、まず米。モチ米を少量加えるところもありますが、ほとんどは普通にご飯としていただくウルチ米のみを使っています。各家庭で五平餅を作る時は、囲炉裏を使って遠火でゆっくりあぶるように焼くというのが基本スタイル。モチ米はやわらかい上、割れて落ちやすいと嫌われたのでした。
 タレのベースは醤油や味噌。そこにクルミや落花生、ゴマを加えて摺り鉢で摺りつぶします。香ばしさの点でゴマは不可欠ですが、木曽路や加子母など、気候的にゴマ栽培が難しい地域では、代わりにエゴマを使います。このあたりが一般的な材料。地域・家庭によっては、さらに「隠し味」が加わります。
 酒やみりん、砂糖などの調味料。山椒の葉やカヤの実、ショウガ、ニンニク、唐辛子などの和製ハーブ。豆腐や卵、魚の缶詰などを加える家もありました。また、ヘボ(地蜂の子)、小鳥などの美味しく貴重なタンパク源もあります。山岡、岩村エリアの味噌ダレにはきざみネギだけを加えることも。こうして、味も栄養面でも素晴らしい五平餅ができあがるのです。